あやまち
「悠亜」




さっきまで、渉が傍に来ようとすると、身体がビクビクしてしまっていたのに、今は少し手を動かせば触れられる位置にいるのに、そんなふうには全くならない。



どうして……?




「悠亜」




それに、渉の口から、何度もやさしく名前を呼ばれる度に、トクンと心臓が跳ねてしまう。



あたし、どうしちゃったんだろう。



落としていた視線の先にある渉の手が、ゆっくりと近づいてきて……



あたしの頬をすっぽりと覆ってきた。



その瞬間、トクトクとあたしの心臓が定期的に音を奏で始めた。




「俺はずっと、悠亜のことだけが好きだった。今もそれは変わらねぇ」




ゆっくりと顔をあげて……



渉と、視線がぶつかる。




ドキンッ……




こんなに真剣で、こんなに熱い瞳は……



あの日、以来。



無理矢理抱かれた、あの日……
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