あやまち
その熱い瞳から、視線をそらせない。



気付いたら、渉とあたしは、至近距離で見つめ合うように固まっていて……




「何やってんだよっ!」




という、翔太の声で我に返り、慌てて渉から離れた。



ほんとに、あたしは何をやっていたの?




いつの間にか隣にいた翔太に、痛いくらいにぎゅっと腕をつかまれて、そのまま引っ張られるようにテラスから出ようとした時……




「翔太、俺、言い忘れてたことがあった」




思い出したようにそう言った渉の声に、翔太は足を止めて振り返る。




「俺、……悠亜を抱いたから」


「は?」




えっ……


な、なんでっ、わざわざ言っちゃうの!?




「いたっ……」




あたしの腕を、ただでさえ強くつかんでいた翔太の手に、さらに力がこもる。

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