あやまち
いくら、たまに外へ出るといっても、部活のある翔太には時間が限られている。



だから、あたしがこの部屋から出られるのは、ほんの一部の時間。



ほとんど一日中部屋にこもって、窓から外を眺めるだけの毎日。



そんな生活をしているからか……



最近は気持ちが不安定になっていた。



翔太はそれに気付いたのか、ここ数日はこんな風に外食に行こうと誘ってくる。



ほんとは翔太のいない間に外へ出ようと考えたこともあった。



でも、やっぱり今の翔太は、それがバレたら何をするかわからないという思いもあって、結局行動に移すことができなかった。






「何食いたい?」


「何でもいい」


「……じゃあ、寿司でも食いに行くか?」


「……うん」

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