《短編》空を泳ぐ魚
「セナちゃん、延長コード持ってきて!
あと、次のバンドのセットリストも!」
「あーい。」
店長に言われるがまま、狭いライブハウスであたしは、忙しく働く。
このライブハウスは、主にロックやパンク系のバンドがライブをする。
すぐ近くにヒップホップやジャパレゲ系のライブハウスもあるけど、
あたしはこっちのうるさい方が好きなんだ。
コンクリートの壁に張っては剥がされでめちゃくちゃになった自主製作の広告。
イカつい顔して子供みたいに音楽を語るやつらも、
“そんなみんなの情熱が好きなんだ”と言う店長も。
とにかくみんな、大好きだった。
自由に自分の気持ちを表現して、自由に叫びまわって。
飲んで騒いで、明日の糧にする。
そんなみんなの生きざまに触れることで、
あたしも疑似的に自由になれてる気がするから。
ただ、こんな狭いハコなのが可哀想だけど、
こればっかりは外でやるとうるさいから仕方がない。
「店長ー!
照明、ネジがどうとか言ってたよー?」
「えぇ?
ったく、しょうがねぇなぁ。」
あたしがスニーカーで働くのは、単に走り回らなきゃいけないのもあるけど、
タオルが飛び、時には人が飛ぶこの場所で、
そんなものを履いてたら逃げ遅れてしまうから。
受付やって、照明のバイトくんにセットリスト渡して、
人気のバンドの時は、外で“並んでー!”とか叫んで。
んで、終わっても掃除やら片づけやら。
クタクタになるけど、生きてる気がするから満足してる。
多分、エンコーなんかよりずっと楽しいことなんじゃなかと思う。
まぁ、その分学校に行けば疲れもあって、
余計に息苦しくなるんだろうけど。
あと、次のバンドのセットリストも!」
「あーい。」
店長に言われるがまま、狭いライブハウスであたしは、忙しく働く。
このライブハウスは、主にロックやパンク系のバンドがライブをする。
すぐ近くにヒップホップやジャパレゲ系のライブハウスもあるけど、
あたしはこっちのうるさい方が好きなんだ。
コンクリートの壁に張っては剥がされでめちゃくちゃになった自主製作の広告。
イカつい顔して子供みたいに音楽を語るやつらも、
“そんなみんなの情熱が好きなんだ”と言う店長も。
とにかくみんな、大好きだった。
自由に自分の気持ちを表現して、自由に叫びまわって。
飲んで騒いで、明日の糧にする。
そんなみんなの生きざまに触れることで、
あたしも疑似的に自由になれてる気がするから。
ただ、こんな狭いハコなのが可哀想だけど、
こればっかりは外でやるとうるさいから仕方がない。
「店長ー!
照明、ネジがどうとか言ってたよー?」
「えぇ?
ったく、しょうがねぇなぁ。」
あたしがスニーカーで働くのは、単に走り回らなきゃいけないのもあるけど、
タオルが飛び、時には人が飛ぶこの場所で、
そんなものを履いてたら逃げ遅れてしまうから。
受付やって、照明のバイトくんにセットリスト渡して、
人気のバンドの時は、外で“並んでー!”とか叫んで。
んで、終わっても掃除やら片づけやら。
クタクタになるけど、生きてる気がするから満足してる。
多分、エンコーなんかよりずっと楽しいことなんじゃなかと思う。
まぁ、その分学校に行けば疲れもあって、
余計に息苦しくなるんだろうけど。