アイノコトバ
美しい物は儚いから美しい。いや、美しいから儚いのだろうか。
私はそっと目を閉じた。
鳥の声が聞こえる。
風の音が心地よかった。

 歴史は繰り返す。
人は愚かな物だから、色々な過ちを何度も繰り返し、繰り返し、それでも今を生きていく。
お兄さまの口癖が私の頭に浮かんだ。
いまいち意味がわからないのだが、それは私の好きな言葉だった。

 昔の女性は愛しい人にどんな方法で、どんな言葉で愛を伝えたのだろうか。
どんな恋をして、どんな人生を送ったのだろうか。
「お母さまはね、几帳の隙間から見たお父さまに一目惚れしたのよ」
お母さまが遠い目をしていた。

今日も歌を詠んだ。
届く事の無い歌を。
君はまだ来ない。
桜の花びらが散っていく。
会いたくて、会いたくて、涙がこぼれた。
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