夢想物語(仮)
僕がギロリと睨んでみせても桜は更に肩を震わせるだけだった。

「ふっ子どもだな、お前は。」

「…だって、まだ14才だ。」

拗ねたように、言えば桜はフォローするように言った。


「なにも子どもであることを責めたわけじゃない」

「…」

無言の僕に桜は優しい声色で喋り続けた。

「大人は、人魚になりたいなんて言わない。」

「…なれないことを知っているからでしょ?だから、なりたいなんて思わない。」

「そうかもしれない。だけど違うかもしれない。」

「…?」

僕が首を傾げれば、桜は静かに言った。

「大人は思っていることを声に出さない。だから仮に大人が人魚になりたいと思っていても周りの者たちには分からないんだ。」




夢を見るのは、
けして子どもだけではないのです。
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