その瞳で見つめて~恋心~【完】
「髪、伸ばしてるでしょ?」

「うん」

「胸ぐらいまでの長さがちょうどいいね。可愛い」

「あ、ありがとう……」

進藤君は微笑んで言うので、ますます照れてしまうけど、すごくうれしい。


「水嶋さんが可愛くなると、ヤローらも狙ってくるんだろうなぁ。──あ、そういえば昨日、不良に絡まれたんだって? 兄さんから聞いたよ」

「あ……、うん。ちょうど、先輩が助けてくれたの」

「──ごめんね、守ってあげられなくて。やっぱり、無理やりにでも送るんだった」

進藤君はうつむいて、落ち込んでしまった。


謝る必要なんてない。

進藤君のその気持ちだけで、あたしは十分だ。


「ううん、謝らなくていいよ。気持ちだけでも、うれしい」

「水嶋さん……。うん、ありがとう」

進藤君が悪いわけではないのに反省している彼を見たら、不謹慎だけど少しかわいいと思ってしまった。

すごく責任感が強いんだということに。


ごめんね?


「何、笑ってんの?」

「え? 笑ってないよ。気のせい」

「いーや。絶対、笑ってたね」

進藤君は大げさに首を横に振った。


「笑ってないってばぁ」

「笑ってたって」
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