光~彼との夏物語~
無理、だ。

あたしの苦しさを、孤独を、恐怖を知らない人が一緒になんて。
ましてや何処の誰かも分からないこんなチャラチャラした男にできっこない。

「ふざけないでよ!あんたみたいな男があたしの生きる意味を探す?馬鹿言わないで!あんたにあたしの何が分かるって言うの…」

あたしは拳を握り締め下を向いた。

お母さんが死んでから周りの人がかける言葉は
「大丈夫だよ」「傍にいるからね」「悲しかったね」「可哀想」
そんなものばかり。

口だけであたしの恐怖を知ろうともしない。
ただ哀れんでいるだけ。
誰もあたしのことを知ろうともしなかった。

どうせまた同じ。
口だけ。
あたしを哀れんで慰めようとしているだけ…



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