光~彼との夏物語~
「寂しかったんだろ。」
下を向いたあたしの視界に男の履いていたブーツが入る。
「ずっと独りで誰にも分かってもらえなくて苦しかったんだろ。」
男の言葉があたしの核心をついた。
ずっとあたしがあの時のことを話そうとすると
「悲しかったでしょう。話さなくていいよ、私たちにはあなたの苦しみがよく分かるわ。」
なんて言われて流され続けてきた。
あたしはそうやって話すことによって蘇る恐怖から守られたかったんじゃない。
あたしの話を聞くことであたしの苦しみと悲しみを知ってほしかった。
あたしの間違いを指摘して怒ってもらいたかった。
今はもう怒ってくれる両親がいないあたし。
だからこそあたしは怒ってほしかった。
正しいほうへ導いてほしかったのに。
誰も話を聞いてくれなくて、ずっとあたしは独りで寂しかった。
独りが怖くて寂しくて…暗闇に独りでいるみたいで。
あたしは溢れる涙と嗚咽を無理矢理止め顔を上げた。