禁断ノ遊ビ


片目で見えるのは抱きつくかのように薺を止めた雛の姿。

だが、涙で滲んで見えない。痛みでそれどころでもない。

聴覚のみが正確に作動していた。


「罰ゲームだよ。雛にもしたでしょ?それと同じ」

「でも……っ!」

「まぁ、捕まえて椿と雛を鬼にしたのにまた捕まったから薺がまた鬼かな。ねぇ雛――……」

「っ、」


雛の耳に口を寄せた薺の言葉のその先は聞こえなかった。雛の息を飲む音だけが鮮明に聞こえた。

思考回路は既に切断されて、


「じゃあ、薺はまたもとの場所で数を数えるね」


リセットされた鬼ごっこがまた始まるのだけを認識していた。


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