禁断ノ遊ビ


気がしただけで、きっと気のせい。

薺は泣きなんてしない。笑うだけだ。楽しむだけだ。


「っ……、死ぬなら勝手に死ねばいい。僕らを巻き込むな」


それで、平穏を取り戻せるなら死んでくれ。そう、念じた。


「でも、もう巻き込んじゃったから仕方ないよ。もうどうにもならない。堕ちるとこまで落として引きずり込んであげる。嫌でも聞かせてあげる。母様と父様の末路を」


項垂れていても、足を捕まれ払われ、泥沼に引きずりこまれる。

聞きたくない。塞ぎたい。

なのに、聞きたい。知りたい。僕らの親の最期を。

また、昔々の話。


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