うそつき
まことの夢は外国に行って、体も男になる事。だから、お前も何か力になりたいとでも思ってるんなら、夜の仕事でもして少しは稼げって事…やと思う。
でも、うちはまことが好きやし、いくら好きな人の為でも、ほかの男の人にくっついたりするのはイヤやった。だから、すぐに店を出ようと思ったら、小柄なホステスが橋元の隣に黙って座って、黙って、グラスに氷を入れて、お酒を入れて、何にも言わないで戻っていった。
他を見回してみても、うちが思ってようないやらしい感じはなくて、みんなで仲良く話してるだけに見えた。だから、つい口を滑らせてしまった。

「うちをここで雇ってもらうことって出来ますか?」
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