うそつき

3

もう何も考えられへんくて、何も考える気になれへんくて、抜け殻みたいになってベンチに座ってた。
何時間くらいそうやってしてたかはわからへん。だって、もう何もかもなくなっちゃったから。うちのせいで、全部が壊れちゃったから。
放心状態でおったら、携帯が鳴った。

「もしもし、智子ちゃん?今日どうしたん?あの怖いお客さんが早く智子ちゃん出せってうるさいねん。早く来てくれな困るわぁ。あたしもあのお客さん怖くて文句も言われへんし。なんでもいいから、はよ来てや。」

ママさんからの電話やった。
行く気なんか全然せえへんかったけど、何もする事がない体が勝手に歩き出してた。
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