うそつき

2

でも、その悪夢みたいな日々も終わって、何事もなかったかのように橋元は消えてった。
ほんまにこれで一安心。もう一生会うこともないし、相手せんとあかん事もない。みんなはまだ文化祭がどうのとかで勉強モードに入ってないけど、うちはすっかり受験生の気分やった。あんな嫌味な嵐が去ってんもん。これで、前みたいに平和に日常が過ぎていくんやなぁ。
橋元がいなくなって初めて、あいつの厄介さが身に滲みた。
うちってば、頑張ったやん。こんな悪い事があってんから、これから先はきっといい事でいっぱいなはずや。




その時は、そう信じて疑えへんかった。
確かにそのすぐ後にいい事があったけど、それは結果的によかったのかはわからへん。
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