うそつき

5

また急な話で何を言ってるんかわからんかった。藤村も記憶操作とやらでもやられたんやと思った。そしたら、

「今、お嬢様がご覧になった通り、私も昔はお嬢様と同じ立場におりました。私も、寺田に恨みを持つものの一人です。」

「ちょっ…!ここでそんな事言ったら、上に筒抜けなんじゃ…?」

「ご心配には及びません。ほんの数十分ですが、監視を切らせておきました。ですから、時間がないのです。とにかく私の話を聞いて頂けないでしょうか?」

あまりにも切実そうな顔をするもんだから、頷くしかなかった。
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