うそつき
彩り

1

初め、言ってる意味がわからんくて、もう一回聞き直そうかと思った。でも、空気があまりにも重たすぎて声が出なかった。
だんだん、二宮さんが言った「ごめん」の意味がわかってきて、胸がとんでもなく痛んだ。謝らなきゃいけないのは、うちの方やのに。こんな事言わせるくらい二宮さんの事追い詰めてしまったのは、うちやのに。
傷つくとしても自分一人が少し、ほんの少し痛い思いをするだけやと思ってたのに、二宮さんをものすごく傷つけてしまった。こんな事言わせたかったんじゃないのに。こんな事他人に言うなんて、辛くないわけないのに。ほんまに何も考えてなくて、幼稚であほな自分に腹立った。
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