うそつき
めっちゃ怒られると思って身構えたけど、一向に何の反応もない。じゃぁ、うちなんで引き止められたんやろ?
よくわからへんまま、何分待ったかわからへん。急に二宮さんが喋り出したから、ビックリした。

「ほんならまず、その二宮さんってのは禁止な。俺の名前はまことやで。それから、敬語も禁止。だって、そんなよそよそしくする必要ないもんなぁ?」

顔をあげて、またいつもみたいにニカって笑ったその目はちょっとだけ赤かった。

「なんやぁ。てっきり怒られると思ったから。拍子抜けやん。」

おかしくって、楽しくって、嬉しくって、二人で笑い合った。
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