彼ハ知ラナイ【短編・完】





「……やっと来た。」

「っ…ごめんっ……」



走った、んだけど。

今日も言われることは一緒。





「来て…皐月…。」



その声であたしの名前を呼ぶ。










彼の手があたしに伸びてきても、もうびっくりなんてしない。


抵抗も、しない。


ただただ、抱かれるだけだから。













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