私立聖ブルージョークス女学院2
 いよいよ花火が始まり、ドーンという音とともに夜空に五色の大輪の花が咲いた。それを見た女生徒たちが「タマヤー」と叫ぶ。だが、シスターたちは一声も発しなかった。次の花火が上がると今度はシスターたちが「カギヤー」と大声を上げたが、生徒たちは口を閉ざしている。
 次にまた生徒たちが「タマヤー!」、その次はシスターたちだけが「カギヤー!」。理由を理解した環は次の花火が上がるまでの時間を利用して早口で生徒たちに言った。
「タマの方ばかりじゃなくて、カギヤーも言いなさい!」
 それからシスターたちの方に向き直って言った。
「タマヤというのは江戸時代の花火屋さんの名前です!いくら神に仕える身だからって、おかしな遠慮の仕方をなさらないで下さい!」
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