甘い秘密をそっと教えて?

「まあ、どうせはじめからアタシには勝ち目ないと思ってたし。
だいたい付き合ってたときだって彼の穏やかな表情なんか見たことなかったから」

久我さんは少し間を置いて、
組んでいた腕を組み替えて続けた。

「…あ、彼は本気だなって思ってちょっと悔しくて、
意地悪してみたかっただけ」


「そ…そんなことないですよ?
あの、えっと、彼はとても穏やかなひとです」

アタシは慌てて彼女の言葉を否定する。


「ほらね。
そういうところ、なんだろうなあ、きっと。
まあ、なんにしても私情抜きでも彼には早く東京に帰ってきて欲しかったけど。
もうちょっと京都にも必要かなって思ってたし」

「久我さん…」


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