大切なもの
side樹


教室のドアを開けた瞬間目に入ったのは、
颯太が沙和を後ろから抱き締めているところで。
耳に入ったのは、
『沙和…また俺のとこに戻ってきてくれないか…。
傍に……いてほしいんだ……』

そんな言葉だった。

俺は……沙和が笑顔でいれたらいいんだ。
あいつが幸せなら、いいんだ。

あいつが笑顔でいれるのなら、
俺は、十分幸せだから。

俺は沙和に、別れを告げた。

よかったな、沙和。

ずっと…ずっと颯太のことを想って。
やっと……伝わったんだな…。

今度こそ、幸せになってくれよ…。




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