大切なもの
その後教室まで荷物を取りに行き、校門まで向かった。

「家、どこ」
「え…?ここ真っすぐ行ったとこ…」
「送る」
「え、だいじょう「送る」
強引に言った俺。
「あ、ありがとう…」
「行くぞ」

素直に、すぐに“ありがとう”を言えるこいつは…
真っすぐなやつなんだと、思った。

「あ、ここ」
「…そ」
「送ってくれて、ありがとう。バイバイ野上くん」
「……なぁ」
「ん?」

「沙和…って、呼んでもいい?」

そう言った今日の俺は、やっぱりどこかおかしいと思う。

「…えっ?…いいよ?じゃぁ、私も樹って呼ぶね?」

「…おう。…お前なら、信じれる」
「え…?」



< 37 / 219 >

この作品をシェア

pagetop