大切なもの
「ほら、たーんとお食べ」
「もう、樹!」
「フハッ!だってよー、あんだけ泣いて、しおらしくなってたのに…ククッ」
「な、泣いたからお腹すいたの!…もう…フフッ」

自分でも、思いだしただけで笑えてきちゃう。
と、その時、樹からの視線を感じた。

「ん、なに?」
「ん?やっぱ、沙和は笑顔が似合うと思って」
「え?」
「お前に、泣き顔は似合わねぇよ。
だから、バカみたいに笑え。
沙和には、太陽みたいなあったけぇ、眩しい笑顔が似合うんだから」
「っ//」

樹は、無愛想にみせかけて…
時々、ドキッとすることを言う。
それも、爆弾級の。

「あり、がと?」
「ま、泣きたい時はまた胸貸してやるよ」
「もう…。泣き顔、忘れてよね?」
「忘れられたらな」
「えー、なにそれ!」
「ハハッ」


ねぇ、樹。

私が泣いた時、

あなたは何を思ってた…?



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