龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】

羽竜家に来て二週間たって、やっと親父からメールが入った。


隣国の空港から車で三日ぁ?

そんなところにいるの?

衛星携帯と、時々途切れるというホテルの電話番号が書いてある。

一番確実な連絡手段はEメールか。

わたしを連れて行けないはずだよね。


こっちは元気にやってるよ、親父


ここの家族のリズムにわたしの存在も組み込まれるようになったと思う。

食事はいつも揃って食べる。

圭吾さんの隣がわたしの定位置。


貴子伯母さんや彩名さんは出かける事も多いけれど、圭吾さんはわたしの帰宅時間には必ず家にいる。

お休みの日も、わたしの休日に合わせている気がする。


一度だけ、圭吾さんが出かけていた日があって、自分でも驚くほどガッカリした。


『圭吾さんはお仕事。いちいち騒がない』

呪文のように自分に言い聞かせていたのに、圭吾さんが帰って来た途端に全部吹っ飛んでしまった。


「鳥の雛みたいだな」

圭吾さんが笑った。


< 44 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop