24時間プロデュース【完】
担架を持った救急隊の人が、あっと言う間に流れ込んで来て
架の身体を乗せて運んで行く。
架の手を握ったまま、あたしも担架の動きに合わせて小走りした。
「君もその手を離しなさい」
救急車の中に運び入れる際、男の人が握ったままのあたしと架の手を引き剥がそうと手を伸ばしてきた。
「嫌です!離さないです!」
それでもあたしはこの手を離したく無かった。
「いい加減にしないか!
君は一体、架の何なんだね!?」
「それはっ…」
答えられなかった。
だって本当に何でも無い。
恋人でも友達でも。
知り合いと呼べるかすら分からない、そんな関係で。
でも、自惚れかも知れないけど。
確かに今、この瞬間
架はあたしの事を必要としてくれてる。
そう感じるんだ。