【完】 After Love~恋のおとしまえ~

「これさぁ、俺の大事な人形なんだ」

サトシは私の視線を気にするでもなく包みを開け人形を取り出すと、愛しそうにその人形を見つめた。

サトシの中で、その趣味は特に隠すべきものではなく、堂々としていられるものなのだろうか。

とまどいながらサトシの行動を見つめる私に、彼は笑顔でこう告げてきた。

「この人形、ちゃんと名前もついてるんだよ」

「へ、へぇ、そうなんだ」

「『みぃちゃん』っていうんだ」

「ふーん」

名前まで付けているのね……


私はごくりと息を飲み、思い切って聞いてみた。

「あの、そういうの好きなの?」

「ん?」

「自分で買ったの?」

「え?」

一瞬の間のあとで、サトシが笑いくずれた。

「ちょっと待て! 友里は、これを俺が自分で買ったと思ったわけ? しかも、俺が名付けたとでも?」

「違うの?」

「そんなわけないだろ!」

「じゃあ……?」
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