【完】 After Love~恋のおとしまえ~




「ところで俺さぁ、友里と俺の趣味の共通点を見つけたんだよな」

ミュージアムの入り口へと向かう最中、サトシがそんなことを言い出した。

「共通点って?」

「俺たちの趣味の共通点。それはまさしく、サンテグジュペリだった」

「え?」

「友里の好きな作家はサンテグジュペリだろ。そして、俺の好きな宇宙には、なんとサンテグジュペリっていう名前の小惑星があるんだ」

「へぇ」

「もっともその小惑星の名前は、作家のサンテグジュペリにちなんでつけられたらしいけどさ」

「そうなんだ」

「まったく関係のない二人の趣味が、サンテグジュペリっていう名前でつながっている。それってなんだか、嬉しくないか?」

そう言って笑いながら、サトシは私の髪を撫でた。


あのね、サトシ。

サンテグジュペリの名前でつながっていることが嬉しいというより、サトシがその点を「嬉しい」と思ってくれることが……

私はこの上なく嬉しいよ。
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