【完】 After Love~恋のおとしまえ~

「一度失った大切な人は、どんなにどんなに後悔しても、もう自分のもとには戻らないってこと。失うようなことをしてはいけなかったんだよな。当たり前のことだけど……友里のおかげで、学んだよ」

静かに頷いた私の前に、サトシが、ポケットから取り出したペンギンのキーホルダーを掲げて見せた。

「そのペンギン……」

「実はさ、あの水族館で、友里にあげたのと同じキーホルダーを自分用にも買っといたんだ。友里と別れても……このペンギンだけは、処分できなかった。友里は、もう捨てちゃったかもしれないけど」

私は、ゆっくりと首を横に振る。

「私も持ってるよ。今でも、大切に」

「そっか」

サトシが、少し嬉しそうに笑った。

「俺、これからも、これだけは想い出に取っておこうと思う。何かにくじけそうになったとき、このペンギンを見てがんばるよ。友里もきっとどこかで頑張っているんだって、思うことにする」

「うん、私もそうする」

「このペンギンに誓おう。お互い、幸せになるって」

「ペンギンに誓うの!?」

「ペンギンが証人だ」
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