生意気な彼は御曹司!?
「小雪が傍にいてくれるだけでいいんだ」
斉藤くんは小さくそう呟くと覆い被さるように、私の肩の上に額を乗せた。彼のサラサラな黒髪に触れると、そっと頭を撫でる。
かわいらしく甘える彼が愛おしい……。
重なり合う彼の重みを心地よく感じていると、斉藤くんの唇がゆっくりと首筋に触れた。たったそれだけのことなのに、身体の中心が疼き、軽く身震いをしてしまう。
「小雪って感度がいいんだね」
「へ、変なこと言わないで……」
恥ずかしいことを指摘されるのは、照れくさい。
「それは無理だよ。だってこれから、もっとすごいことをするんだから」
身体を起した斉藤くんは、私を見下ろしながら口角を上げて意地悪く微笑む。その表情はとても色気があって、胸がときめいた。
「小雪の身も心も、全部僕にちょうだい」
まるで二度目のプロポーズのような言葉を聞き、感動で涙腺が緩み出す。
「はい」
迷うことなく返事をすると、瞬く間に唇を塞がれた。漏れる吐息に混じり合うように、想いを告げる。
「冬生(ふゆき)好きよ……」
「僕も好きだよ」
初めて彼の名前を呼んだ私は、自ら大きな背中に腕を回した。
暖炉の薪がパチパチと音を立てるのを聞きながら、一糸まとわぬ姿になる。そして私たちは、愛を確かめ合うために、甘く激しくひとつに結ばれた。