錘~tumu~



二度と逢えないって

わかっているから逢いたい

すぐに

逢える距離にいたときは

そうそう

空気のように感じていた

そこに愛があるのが当たり前で

君が私を愛しているのが当たり前で

それは無限にあるもののように感じられて

私は

いい気になって

ずいぶんと傷つけて寂しくさせて疲れさせたのかもしれないね

「愛しすぎた…」

って

いつかぽつりと言ったね

愛しすぎたんじゃなくて

受け入れすぎたんだよ
懐深く深く深く深く深く

どこまでも
私のワガママを受け入れて

君は

逝ってしまった……

叱って欲しかったのかも
焦らして欲しかったのかも
突き放して欲しかったのかも

あーーーーーーーーーーーーーーー

どこまでもワガママだね
私は

近頃君は
夢の中でとても饒舌だ

表情も豊かで

だから

いやおうなく

夜中に目が覚める

隣には誰もいない

空っぽのベッドを

何も感じないように見つめて

ゆっくり愉快な本を読んで

私が眠りにつくなんて

昔は考えられなかったよね










愛した男を懐かしむときは大きなあめ玉を転がすように


2010,2,26
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