寂しがりやの猫
一人
その日は もう田村とは 逢えなかった。

夕方、部長に挨拶し、残っている人達にも挨拶を済ませて 会社を出た。


あっさりしたもんだよな…

20年近く務めた会社を振り返り、すぐにまた前を見た。

― どうしようかな。悠里を誘って飲みに行くか。

それとも一人で まったり家で呑むかな…


なんとなく 携帯を見ると 田村からメールが 入っていた。


『中河原さん、お見送り出来なくてすいませんでした。 これからも 自分らしく前向きで生きていきましょう。 俺も頑張ります』

私はメールを見ながらトクン トクン と心臓が鳴るのを感じた。

… 辛い… 辛いよぉ…。田村にもう逢えないなんて。

あのコミカルな顔がもう見れないなんて。

駅のホームでベンチに座り、ポロポロと泣いた。


こんなに誰かを求めたのは 初めてだった。
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