寂しがりやの猫
『ほんとは 就職決まる前から考えてたんですけど。親父から、こんな時代に留学なんてバカげてる、て反対されて。

けど 一応 色々調べては居たんです。

それで 今日 中河原さんと話して俺もちゃんと自分の居場所見つけたいって思って。

さっき申し込んで来ました』


「そうなんだ…」


私は 胸がキュン…と締め付けられる。

私と話したことで田村の人生が良い方向に向かうのなら、こんなに嬉しいことはない。

「いつ 行くの?」


『あ、秋です。向こうの新学期に合わせて』
「そう。頑張って」

『はい。中河原さんも』


「うん」

何を頑張ったらいいのか判らなかったが、とりあえず返事をした。
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