寂しがりやの猫
次の日。昼前まで眠り、母親に起こされてリビングに行くと 案の定、お見合い写真がテーブルに置かれていた。


「ね、奈都。逢うだけ逢ってみない?あなたいつも写真だけ見て断るけど、今回は お母さん、自信あるの!」

母親は嬉しそうに私に写真を渡す。

普通の台紙に張られたものではなく、スナップ写真を少し引き延ばしたものだった。


「この方よ」

数人の男女が映る写真の上の端。


ちょっとはにかむような笑顔で その人は写っていた。

優しそうな暖かそうな人。

身長も高そうだし、太っても居ない。 顔だって悪くない。


「38歳でね。バツイチらしいんだけど、お子さんは いらっしゃらないし、お仕事は 大手の薬品会社」

いいでしょ、いいでしょ? と母親は物凄い気に入りようだった。

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