寂しがりやの猫
「素敵な人だね」


「そうでしょう?」


「でも ごめん。お母さん、私 好きな人が居るんだ」


「え」

母親は 驚いて私を見た。


「あら、なんだ!そうだったの?奈都 恋人いたの?それならいいのよ。じゃあ 近々連れてらっしゃいよ」


母親は パッと顔を明るくして言う。


「あー でも 恋人って訳じゃなくて」


「え… まさか 不倫とかじゃないわよね…」

「違う、違う!ただの片想いで」

私が言うと母親は アハハ…と笑い出した。
「ヤダ、奈都 可愛い」

「え」


「そんなの 早く告白しなさいよ。奈都が好きになるような人なら きっと モテるだろうし、すぐに誰かに取られちゃうわよ」

ふふふ…と母親は笑った。
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