寂しがりやの猫
どっと人におされて 二人と離れた。

「きゃっ」

結城の可愛い声がして チラッと見ると田村に守られるように結城が立っている。

「大丈夫?」

田村は 結城を支えながら優しく言う。


「ん、ごめんね」


多分 今 結城の髪の香りが田村の鼻先をくすぐって、ちょっとドキドキしているんじゃないかな…

そういえば 結城は ちょっと小柄だから 田村となら 身長のバランスも良い。

私は この歳の割には背が高いし、ヒールなんか履くと 下手すると田村よりデカクなる。


― 男って 結局 ああいう子を選ぶんだろうなあ…

二人の姿を見ながら思う。

結城が ちょっと羨ましかった。
< 51 / 214 >

この作品をシェア

pagetop