寂しがりやの猫
「あの、中河原さん、このこと内緒にして下さいね。知ってるのは村野さんだけなんで」

「判ったよ。頑張ってね」

なんだか自分の想いはどうでも良くなっていた。

田村だって千里ちゃんのほうがいいに決まっている。

私なんかが告白したら びっくりして逃げ出すかもしれない。

― まあ それも面白いか。

頭の中で コミカルな自分達の姿を思い浮かべる。

あーあ、若いっていいな…

今まで そんなこと思ったことは無かった。
歳をとれば それなりに周りが見えて来て、人間が出来てくる。

それは それでいいと思って 受け入れてきたけれど…

― 田村にあうくらいの年齢になれたらなぁ…
などと考えてしまう。

寂しくて 結城と別れてからちょっとだけ泣いた。
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