寂しがりやの猫
『あ、もしもし。すいません。田村です』

「え?田村くん?どうしたの?」

私は ラウンジから出て 小声で話す。

『ちょっと 市川が大変で…。申し訳ないですが 変わってもいいですか?』

「なに?いいけど」

大変って何?私は 電話を持って待っていた。

『中河原さ~ん!奈都さあん!好きです!大好きです!仲澤課長なんかと逢わないで下さ…い… っく… っく…』


「なに?泣いてんの?市川くん」


『ひっく… 泣いてない… です… っく…』

明らかに しゃくりあげて泣いている。

全く困った男だな…


「判った、判った。今度ちゃんとデートしてあげるからね。もう泣かないで」


優しく言うと ほんとに?と弾むような声が返ってきた。

また 田村が出てきて、すいませんでした… と謝り、電話は切れた。
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