寂しがりやの猫
「おお~い、中河原~!」

「奈都~!」


後ろから 課長達に呼ばれる。無視していると 課長達は 新入女子社員達を呼んで、お喋りを始めたようだった。


― ごめんね、みんな…

心の中で手を合わせていると いきなり隣に 田村が座りに来た。


「な、何よ」


私は 驚いて顔を上げる。

「後ろから追い出されて ここしか空いてないんです。我慢して下さい」


「ふ、ふぅん」


身体の左側が意識しているのか、バスが揺れる度に触れてドキリとする。

私は なんだか恥ずかしくて 腕組みして目を閉じた。



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