【短】半透明な愛を捧ぐ
その後に「なんでかは分からないんだけどね」と付け足した。
「まあ、手紙はないみたいだしどんな内容か分からないのよね」
「…そーだね」
「じゃあこの話はおしまい。あ、お父さんにはまだ内緒ね?」
「うん、分かった。お風呂入ってくるね」
そのまま逃げるように下に降りていった。
─────…
────…
「ふー」
お風呂から出た後、髪を乾かしながら大きくため息をついた。
…あの手紙は一体なんて書いてあったんだろう?
髪を乾かし終えたら、もう一度見てみようと決めた。
「里依南、ちょっといい?」
「ん?なに?」
リビングを通っていると、母があたしを呼んだ。
立ち止まると、座るように手で椅子を指差した。
指示通りに座ると、何故か真剣な顔でミカンとりんごを持っていた。
…え?なんで??