花物語
ドングリさんの嘆き

向かいの塀の外に
ドングリさんが落ちているでしょ
そのドングリさんを拾っていたら
ドングリさんがじっと私の顔を見て
どうか私の話を聞いてくださいって言ったの

鳥さんや風さんから
よくお山の噂を聞いているのです
サルさんやイノシシさんやクマさんのことです
年々お山には食べるものが少なくなって
仕方なくお山のふもとまで下りて行くんです

お山のふもとは昔は畑だけだったのが
今では人が住む家がたくさんできて
いろんなお店まで出来ているんです
おサルさんもイノシシさんもクマさんも
そんなふもとの変化に驚いているんです

ちょっと食べるものをいただいたら
すぐにでも山に帰りたいいんです
人は怖いと教えられているからです
でも人の方が彼らを怖がって
危ないから捕まえようとするんです

人は網や棒や鉄砲を持ってか
れらを追いかけます
彼らは怖いから必死で逃げます
捕まりたくないから必死で暴れます
彼らはお腹がペコペコなので
ちょっとだけ何か食べたいだけなのです

足を滑らせ壁にぶっつかり
彼らは逃げようと必死です
人が怖くて必死です
そんな彼らのことを思うと
たまらなく悲しくなります

お山に食べ物が少なくなったのは
なぜですか
昔は山もふもとも自由に行き来できたのに
それが出来なくなったのはなぜですか
みんなと仲良くなりたいのです
仲良くなれないのはなぜですか


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