Mary's Boy Child ―お父さんとお母さんはねこになった―
「ケッコンしているならね、ちゃーんと仲良くしないといけないよ。大好きだから一緒にいるんでしょ?」
ね?
仙太郎はあどけない笑顔でおれ達を抱き締め続けた。
「ぼくのお父さんとお母さんも」
大好きだから一緒にいるんだよ、自慢げに教えてくれる息子の言葉に照れてしまうおれがいた。
子供の無垢さは最強だな。
「だけど最近、喧嘩しちゃったんだ。ぼくのお父さんとお母さん…、ぼくのせいで」
ぎゅうっと腕の力を強くする仙太郎に、おれと頼子は思わず目を見開く。
なんでお前のせい?
それはどういうことだ?
聞きたいことは沢山あるのに、残念ながらおれ達はねこ。
仙太郎の気持ちを聞くことは出来ずにいた。