恋する24時

「……波那?」



「……ん」





 この苦い思いは

 ずっと

 アタシ達につきまとうのかな?





「ゴメンナサイ、明日には、ちゃんと笑えるから……」





 明日には

 大丈夫になってるから。



 今だけはお願い

 もう少し……。





「……波那」



「はい?」





 郡司の手が

 ゆっくりとアタシの手を握る。





「……あの時とは、全然違ってしまったけれど、これからずっと、俺は波那と一緒に歩いていきたい」





 えっ!?



 まるでプロポーズみたいな言葉に

 アタシは驚いて

 郡司を見つめた。





「……」



「あっ、イヤ!! ……そう言う意味じゃ……なくは、……ないけど」





「……」



「……?」





 握った手が

 どんどん熱くなっていく。





「――…い、いつか、ちゃんとした時に言うから!!」





 真っ赤になって横を向く

 郡司の顔が

 とても愛しくて

 また、涙が出た。





「は、波那?」





 心配して

 顔を覗き込む郡司の胸に

 アタシは顔を埋めた。 





「……うん」





 うん待ってる。



 きっと

 ずっと、郡司は

 ソバにいてくれるだろう。





 アタシは

 苦しくて、でも幸せなキモチで

 目を閉じた。





 青く深い、深い海の底

 アタシを優しく包んでくれる人の

 温もりを

 手に感じながら心に誓う。





 きっと



 この手を間違えることは

 もう二度とないって…――



















 fin


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