恋する24時

 嬉しいような

 申し訳ない、ような……





「ホラ、コレ食ったら薬飲めよ?」



「あ、ありがとうございます」





 ガラスの器に入った缶詰のみかんは

 ひんやりと冷たくて

 懐かしい味がした。





「美味しい……」





 また、涙腺がゆるみそうになる。



 !?



 アタシは、あわてて首を横に振って

 意識を現実に引き止めた。





「印南先輩、今日は色々とすみませんでした」



「あぁ、間に合わなかったな……」





 えっ?



 間に、合わなかった?





「最近お前、青っ白い顔してたから、鉄分足りないんじゃねぇかと思ってレバニラ食わせようとしたら」





 あっ

 レバニラってアタシ用だったんだ?





「朝一で倒れるし」



「す、すみません」



「ただでさえ食細いのに、夏バテか? 最近全然食べてなかったろ?」



「あ、ははは……」





 あぁ、食べてないの

 バレている……。



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