恋する24時

「燃費のわりに体力だけは、自信あったんですけど?」



「はぁ? 倒れてたら意味ないだろ?」





 うっ、確かに……。



 やや本気めに叱られてしまった。





「……すみません」



「……治ったら、昼に上手いレバニラ絶対食わせてやる」



「は、はぁ?」





 先輩のスタミナ食なんでしょうか?



 まだ食べられる気がしなかったけど

 その気持ちが嬉しかったから……。





「ありがとう、ございます」



「おう、早く治せよ?」



「はい……」





 何だかヘンな感じ……。



 印南先輩は、やさしい

 ぶっきらぼうで取っつきにくくて

 怒ると怖いけど



 温かい気持ちにさせてくれる人。



 泣いてたのを

 聞かないでくれた。



 みかんの缶詰め

 買ってきてくれた。



 夢の中すがった手を

 振り払わないでくれた。



 知らないはずの大きな手

 重なる記憶

 本当にやさしくて、いい人だと思う。



 いつか

 アタシが1人前に

 仕事も生活もこなせるようになれたら



 きちんと恩返ししよう

 と、心に誓った。



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