恋する24時

 フワリ、と

 ヴェールを広げて空間を作りつつ

 生方はあたしの前に

 どこかの騎士の様に片膝をついて

 ブーケを持つあたしの手ごと

 生方の手の中に包んだ。





「……このポーズなに?」



「オーナーの指示です、騎手っぽくないですか?」




 確かに、この方が

 プロポーズしているような

 騎手っぽく見える。





「このまま、1分くらい見つめ合うだそうです、出来れば笑顔で……」




 うぅ、女優じゃないから

 それは無理〜





「伊織さん」





 生方は、笑顔のまま

 あたしを見つめる。





「はい……」



「今日は、撮影に突き合わせてしまって申し訳ありませんでした」



「……それについては後日お説教です」



「えっ、そんなぁ、オレ頑張ったのに」



「頑張ってるわよ? 生方は、……だからちゃんと叱ってお勉強させるの」



「! はい、ありがとうございます 」





 言った意味をわかってくれたのか



 嬉しそうに立ち上がって

 生方は、あたしに手をさしのべる。




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