恋する24時

「ラストシーンお願いします、伊織さん」





 あたしが乗せた手を

 ゆっくりと引いて立ち上がらせると



 手袋の上から

 恭しく、手の甲に唇をつける。



 うわぁ



 女の子のキラキラした夢の

 王子様みたいな感じの設定かしら





「オレのこと見れます?」





 引き寄せられて

 そのまま見上げると

 すぐ近くに王子様な生方の顔がある。



 彼の瞳の向こうに

 白いドレスを来た、あたしが映った。





「伊織さん……」





 コツン、と

 あたしの額に、彼のおでこが重なる。





「オレに抱きついたら終われますよ」



「ナニそれ」





 お茶らけた言い方につい笑いながら

 生方の背中に手を回し

 汚さないように

 彼の胸元に頬を寄せると



 ゆっくりと

 生方の腕があたしを抱きしめた。





 ふと、思う

 告白の返事、ちゃんとしないとな……





 彼の、物凄い速さの心臓の音に

 気付かないように

 あたしは目を閉じた。



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