30秒の至福
30秒の至福
駅のホームで、携帯電話を耳に当てながらあなたは言う。


「犯人は鍵屋だろう」


ユニークな発想だけれど、ダイヤル式の南京錠数十個の売り上げには、いたずらに時間を割く価値はない。

そう、あなたは今、マンション全体に対するいたずらに頭を悩ませている。入り口の集合ポストの中身が床にぶちまけられるという単純だが悪質なもので、あなたはうんざりした顔で自分宛の郵便物を探し出す。


止まないいたずらに、マンションの住人達はそろって南京錠をつけ出した。
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