春、恋。夢桜。
 

わけがわからずに戸惑う俺を、麗華は思いっきり笑い飛ばした。


「どうして、と言われてものう。わしにもわからんのじゃから仕方があるまい?
まぁ、本当は紅姫様が詳しい説明をしてくださったんじゃが……」


麗華は、少し苦笑いをするみたいな表情になった。


「何だよ」

「忘れてしもうたのじゃ!」

「はぁ!?」

「でも、2つだけ、簡単じゃったから覚えられたことがあるんじゃよ?」


麗華は、指で大きく2を表した。

その手を嬉しそうに、俺に向けてくる。


あまりにも無邪気なその表情が懐かしくて、なかなか目が離せない。


未だに上手く働き切ってない頭をフル回転させて

俺は今の状況について行こうと必死だった。


「あのな、これは夢なんじゃ」
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