俺のシンデレラになってくれ!

「次もあるってことなのかな……」


「ん? 何か言った?」



小さくつぶやいたあたしを振り返った篤に、何でもない、と首を横に振って見せた。



自分の生活だって、自分の将来だって、自分で決めて、自分が頑張って引っ張っていかなきゃいけないんだと思ってた。


いや、それは今でも思ってる。


だけどこうやって、誰か、もしくは何かがあたしを引っ張ってくれる時があるんだったら、その時くらいは少し休憩して、それに従ってもいいのかもしれない。



もしかしたら今までもこんな機会があったのかな。


そうだとしたら、あたしは傲慢すぎたかもしれない。



まぁ、過去のことなんてどうでもいいけど。



ぐるぐると動いていた頭を止めると、重さの違う篤とあたしの足音がとんとんと響いてきた。



ゆっくりと、でも確実に響いてくる足音は、やっぱり、今日見てきたどのシンデレラとも違った。


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