苦く甘い恋をする。
やっぱり、栗林さんはすごい。


どんな状況でも、誰に対しても笑顔を作り続けられるって、やっぱりすごい。


私には真似できそうにないなぁ。


「ホゥッ……」小さく息を吐き出して、私はお化粧室の鏡を覗き込んだ。


「……微妙に顔色悪いかなぁ? 帰りまでバレなきゃいいけど……」


小さな声と共に息を漏らし、ポーチの中からチークを取り出す。


ポンポンポン……。


頬に何度も何度もチークを重ねたのはもちろん、顔色の悪さをカバーするため。

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